はじめての息子の手料理

今年小学校5年生になる息子が手料理を作ってくれた。
とはいっても、炊飯器に残っていたごはんで、おにぎりを作ってくれただけなのだけれど、息子の手で握られた割には小さめのおにぎり。
周りにふりかけを振っていびつに海苔が巻かれているのだが、どうみても小さい気がするのだ。
テーブルの上に置かれた平皿に三つ乗ったそのちいさなおにぎりを見つめ、御飯を全部使ったの?と聞くと頷く。
おかしい。だとしたらこんなに小さいはずは無い。三合炊いておいた御飯がこんな少ないはずは無い。
ふと、テーブルの下を見る。

無数の白い米粒が点々とそこら中に落ちていた。よく見ると、息子の衣服にも白い点々が…。
握っているうちに御飯をみんな落としてしまったのだ。だからこんなにちっちゃいのか。
息子はどや顔でにこにこ笑っている。
掃除や後片付けの手間を考えると烈火のごとく怒りたい衝動に駆られるのだが、11歳にして始めて作ってくれた手料理なのだ。
「お母さん、食べて。」
そう言って嬉しそうににこにこ笑っているのを見ると怒れない。
掃除はあとでやればいいや、と開き直って、母は息子の初めての手料理を頂くことにした。